どじ

息子にはとても仲の良い友だちがいました。

近所に住むおじさん。
息子はおっちゃんと呼んでいました。
おっちゃんはいつもドジしていた息子に、どじ というニックネームをつけました。

あまり印象が良くないかもしれませんが、
おっちゃんが息子を呼ぶ 「おうぃ どじ」 という言葉は、とても優しい。
息子もどじと呼ばれることを喜んでいました。
ですからここでも、どじと呼ぶことにします。

おっちゃんは自分の子どものように、どじを可愛がってくれました。

一緒に犬の散歩に行ったり、
ホームセンターへの買い物に一緒に連れて行ってもらったり、
ゴムで飛ぶ飛行機を作ってもらったり、
夏休みの宿題なんかもちゃっかり手伝ってもらっていた。
いない、と思ったらおっちゃんちで寛いでいたり・・・。
おっちゃんちは、どじの第2の家のようでした。

どじは幼いころから生き物大好き。
昆虫に詳しくて、幼稚園のころには、 「むしはかせ」 と呼ばれていました。
園のチャボを抱くのも上手、世話も喜んでしていました。

人も大好き。
友だちは、ヨチヨチ歩きの幼い子どもから、お年寄りまで年齢に制限なし。
人懐こくて、誰とでもすぐに仲良くなりました。
友だち関係で悩んだ時もありましたが、自分なりに解決法を考えて、努力する面もありました。

自然とふれあうことも好き。
外遊び大好きな、自然児でした。
朝は家族で一番の早起き。
ヒマなものだから早朝5時に友だちの家に遊びに行って、怒られたこともあったっけ。

音楽も好きで、外で遊びたくて途中で辞めてしまったピアノのレッスンも、
結構楽しんでしていたようです。
ピアノの先生には絶対音感があると言われ、ひょろりと背が高く足が長かったから、
どじの姉たちには、ジャニーズに入るよう!?勧められていました。

そしてどじは好奇心のカタマリでもありました。
将来の夢は科学者。
いつも理科の辞典を開いていました。

エンジン全開で1日を過ごし、夜は疲れてぐっすり眠る。
毎日を笑顔いっぱいに、充実して過ごしていました。

大知 (たいち)

「大知は愚の如し」

本当に賢い人は小利口な行いをしないから、一見愚かにみえるものだという意味です。
父親がこの諺が好きで、初めての男の子(どじ)にこの名前を付けました。

至らない親でしたから、子どもの行動に目が行き届かず、
悪気はなくとも時に人に迷惑をかけたこともありましたが、
人間的には私たち親より優れていたように思います。

どじのこと、ちょっと誇りに思っているんですよ。
私たちの子どもに生まれてきてくれてありがとう・・・。

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