至福の時

今日は静かな雨。
埃っぽかった木々の葉も、生き返ったようにつやつやしています。

昨日、久し振りに友人たちと温泉に行ってきました。
白山の麓にある鄙びた温泉です。
遠くに残雪の山を望み、春の訪れも遅いところです。
川には雪解けの水がごうごうと音を立てて流れ、
あちこちにふきのとうが顔を出しています。
私の好きな山吹もたくさん咲いています。
時間を少し戻したような、二度目の春を楽しみました。

温泉には湯の花が浮かび、
ぬるめの湯に長い間浸かっていました。
至福の時間です。

湯に浸かりながら窓から見える空を眺めている時も
残雪の上を歩いている時も
美しい花や景色を眺めている時でも
ふと
どじのことが思い浮かびます。

どじは自然児だったから、
こういう場所に来たら、そりゃあ喜んで駆け回っていたでしょう。
好奇心いっぱいの子だったから
冷たい川の水に手をつけたがっただろうし、
雪を掘ってもみただろうし、
かぶと虫の幼虫がいそうなところを物色もしたろうし。

・・と、友人たちと一緒の時間を楽しみながらも、
いろいろな情景を心の片隅で想像します。

どこにいても
どんな時でも
どじは私の近くにいるのかもしれません。
空のなかに
美しい自然のなかに
どじのいのちが溶け込んでいるような気がします。

2005.5.1

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