デジャヴ

大きなダイニングテーブルの傍においてある
太い丸太の上の火鉢の
やわらかなあたたかさにくるまれながら
その女性と話しているとき
軽いデジャヴを感じました。

部屋の雰囲気や
彼女の私を見つめる眼差しに、
過去の記憶に似たものがあるのか
よくはわからないことだけど
ああ私は 知っている
ただそう感じた 静かな時間。

植木屋さんが気付かずに
剪定した庭の木の枝に
未使用の鳥の巣があったとか。
手のひらに乗せられたその巣は
小さいけれどとても上手につくられて
ふわふわしたあたたかさがありました。
こんなあたたかな巣だから
雛がかえることができるのね。

彼女の家も
この巣みたいなのだろう。
家族と山羊とにわとりと
大きな自然に囲まれた
田舎の古民家での暮らし。
憧れだけど
私にはできそうにない暮らし。

幼いころの記憶にある
そんな古い民家には
土間やかまどや五右衛門風呂。
夏にはつばめと同居して
冬は掘り炬燵と火鉢で暖をとる。
春は花夏は木蔭
秋は紅葉冬は雪に
子どもながらに美を感じた
短いけれど濃密なとき。

そんな豊かなひとときを
思い出させてもらえました。

2008.3.2
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